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米、パリ協定離脱表明/【問】COP3で採択された協定は何か?

ニュース概要

www.sankei.com

トランプ米大統領は1日午後(日本時間2日未明)、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると発表した。「米国第一主義」を掲げた選挙戦の公約を実現した形だが、世界第2の温室効果ガス排出国である米国の離脱は気候変動問題への国際的取り組みにブレーキをかけ、米国の指導力低下につながるという懸念の声もある。

パリ協定って?

地球温暖化防止に向けた2020年からの国際ルール。

2015年12月の気候変動枠組み条約第21回締結国会議(COP21)で採択されました。

今世紀後半に世界全体で温室効果ガスの排出を実質的にゼロにすることを目指しています。

京都議定書で排出削減義務を負ったのは先進国のみだったのに対し、パリ協定では全ての国がこのルールに参加するため、「画期的」と称賛されています。

各国が削減目標を提出し、達成に向けて努力することを定めています。

トランプ大統領の思惑

トランプ大統領は「気候変動の原因は人間活動にある」という考えに懐疑的です。

排出量の抑制は石炭などの国内エネルギー産業に悪影響をもたらすと主張し、選挙期間中からパリ協定からの離脱を公約にしていました。

よって今回の離脱表明で、選挙で支持を受けた労働者階級の国民に対する約束を守った格好になりました。

各国の反応

他国首脳や主要なマスコミからは、トランプ大統領の今回の発表を批判する声が聞こえてきます。

ですがアメリカ国内に目を向ければ、雇用喪失や賃金低下に苦しむ労働者を中心に離脱に賛成している層が存在しているのは事実でしょう。

ただ大統領選挙の結果をみてわかるとおり、米国内の世論は労働者階級といわゆる「エリート層」で二分されています。

トランプ大統領の保護主義的な政策には、イギリスやフランスの右翼政党などが同調する流れがありますが、温暖化対策に異を唱えた今回の決定に寄り添う国外からの声はほぼゼロです。

次々と敵を作るトランプ大統領の強引なやり方は、アメリカ国内にひずみを生み、将来的に長続きするとは思えません。

今後の温暖化対策はどうなる?

最大の排出国の一つであるアメリカが離脱表明したことで、先進国と途上国がともに協力しながら進めていくことで一致していた温暖化対策は、事実上破たんしました。

温暖化対策は、基本的に従来のエネルギー産業の成長を妨げるものです。

それでも、将来的にもたらされるであろう温暖化による実害が、経済成長の抑制による損失を上回ると世界各国が判断して、今回のパリ協定発効に至ったのでした。

つまり、国際協調なくして温暖化対策の成果は上げられないのです。

主要排出国であるアメリカが環境問題の分野でも自国第一主義に走ったことで、他国は「アメリカがやらないなら、自分たちが対策を真面目にやっても意味ない」と考えるでしょう。

パリ協定でやっと進展が見え始めた温暖化対策は、今回のアメリカの離脱表明でまた暗礁に乗り上げることになりました。

【問】の答え

【答】京都議定書

1997年に京都で開かれたCOP3(気候変動枠組み条約第3回締結国会議)で採択され、2005年に発効しました。

最大の排出国であるアメリカは、国内経済に悪影響があるという理由で脱退しました。

パリ協定は、京都議定書に続く国際ルールです。今回もアメリカは同じ理由で離脱を表明したのでした。