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「テロ等準備罪」成立/【問】国家間の文書による合意を何と言う?

ニュース概要

www.sankei.com

 共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法は15日午前の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。与党が参院法務委員会の採決を省略できる異例の「中間報告」に踏み切ったことに野党は「究極の強行採決」と猛反発し、14日から徹夜の攻防を繰り広げた。改正法成立に伴い、実行後の処罰を原則とする日本の刑法体系は大きく変わることになる。

「テロ等準備罪」とは

組織的に犯罪を企む集団のメンバーが、2人以上で犯罪を計画し、少なくとも1人が計画実行のための準備することを「テロ等準備罪」といいます。

今回成立した法律で、少なくとも1人が、資金の調達や現場の下見などの準備行為を実行した段階で、計画したメンバー全員を処罰できるようになりました。

全ての犯罪が対象ではありません。

罪に問えるのは、組織的犯罪集団が関与することが考えられる、ハイジャックや組織的な詐欺など合計277の犯罪です。

これまでの流れ

日本は平成12年(2000年)に、国際的な組織犯罪を防ぐために各国の協力を促す「国際組織犯罪防止条約」(TOC条約)に署名(調印)しました。

この条約では、重大な犯罪を「我々が実行するぞ」という、合意そのものを犯罪として処罰するよう、義務付けています。

 

日本政府は平成15、16、17年に計3回、条約にしたがって「共謀罪」を新たにつくる法案を国会に提出しましたが、強い批判を受けて全て廃案になりました。

今回は、過去と同じ内容では同様に廃案になってしまうため、対象を組織的犯罪集団に絞り、計画実行のための準備行為があることを犯罪が成立するための要件に加えました。

これが「共謀罪の構成要件を厳格化した」の意味です。

2020年の東京五輪開催が決定したのを受け、法整備を求める声が高まり、再度議論が始まったのです。

今後の流れ

テロ等準備罪の新設を盛り込んだ「改正組織犯罪処罰法」の成立で、ようやくTOC条約を締結する準備が整いました。

現在TOC条約を締結している国・地域は187で、国連加盟国で締結していないのは11か国。

さらに、先進7か国(G7)で締結していないのは日本のみです。

今後はTOC条約の「批准」に向けて動き出します。

批准書を作成し、それが認められればついに「締結」となります。

締結により、他国からの捜査に関する幅広い協力が得られるため、テロなどの国際犯罪に対する取り締まり強化が期待されます。

【問】の答え

【答】条約

協定、取り決め、議定書などと呼ばれることもあります。

日本では条約の締結権は内閣が持っています。

条約は、国の代表者による署名(調印)によって内容が決まります。

その後、各国が本国のでの承認の手続きを済ませ、「批准」します。

今回の改正組織犯罪処罰法の成立は、ここでいう「承認の手続き」に当たります。