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ヤマト運輸、宅配サービス縮小/【問】貨幣価値が上昇し物価が下がる現象を何と言う?

ニュース概要

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 宅配最大手のヤマト運輸は、ネット通販の荷物の増加によるドライバーの長時間労働を減らすため、19日から、正午から午後2時までの時間帯を指定する配達を廃止するなど、一部のサービスの縮小を始めました。
ヤマト運輸は19日の配達から、朝から夜まで6つの時間帯に分けていた時間帯指定の配達のうち、正午から午後2時までの指定を廃止しました。

サービス縮小の目的

ヤマト運輸が19日から、「時間帯指定配達」における「正午~午後2時」の区分を廃止しました。

この時間帯を指定して荷物を受け取ることはできなくなりました。

指定できる時間帯は、「午前中」の次は「午後2~4時」だということです。

ドライバーが昼休憩を取りやすくするのが狙いです。

「午後8~9時」の時間帯については、「午後7~9時」に変更しました。

多くの社会人は「仕事から帰宅してから受け取りたい」と考えます。

このため配達は夜間に集中しがちでした。

配達時間に幅を持たせることで、荷物が多い夜の負担軽減が期待されます。

宅配会社の現状

ドライバーの長時間労働が社会問題になっています。

原因の一つは、ネットショッピング市場の拡大による荷物の増加です。

中でも利用者が多い「アマゾン」の荷物を引き受けているヤマト運輸

2016年度の宅配便の取扱数は約19億個で、10年前に比べて6割も増えました。

結果、ドライバーの負担は重くなる一方。

必要なドライバーの数はもちろん増えました。

しかし、体力的にきついこの職業に就きたいと思う人は減りました。

よって、ヤマト運輸のみならず宅配業界全体で、ドライバーの人手不足が深刻化しています。

今回のサービス縮小は、働き方改革を進めるヤマト運輸が、ドライバーの負担を軽減し、人手を確保するために実施した取り組みです。

取り組みは他にも

ヤマト運輸は、4月から当日再配達の申し込み締め切り時間を約1時間繰り上げました。

締め切り時間が遅いと、次から次へと再配達の申し込みがあり、その日の仕事が長引いてしまうからです。

再配達をしなくて済むように、駅やコンビニに荷物を預ける「宅配ロッカー」の設置も進めています。

 

佐川急便は、一部の都道府県で週休3日制の正社員運転手の採用を3月から始めました。

「ちゃんと休める」という制度を設けることで、求職者の増加を狙っています。

 

日本郵便は、自宅ではなく郵便局での荷物受け取りを促す仕組みを導入しました。

郵便局で受け取れば「ポンタ」などのポイントがもらえる、というサービスです。

郵便局に荷物を預けておけば再配達する必要がないため、負担が減るのです。

デフレ脱却に向けた動きでもある

日本では、ここ20年以上にわたりデフレーションが続いてきました。

その結果宅配業者は、安い料金で過剰なサービスを提供する、という事態に陥りました。

景気が落ち込む、つまり仕事が減る中で、宅配業界が顧客の獲得を目指してより安く、より高度なサービスを追求していったからです。

現在は、ネットショッピングの普及という社会の変化により、宅配業界の仕事が急増する局面に変わりました。

現場で働くドライバーたちがそのしわ寄せをくらっているのです。

 

一方で、一般の消費者は、より便利な暮らしを手に入れることができました。

ネットで頼んだ商品がその日のうちに届く―。

外出中で受け取れなくても簡単な手続きで再配達してくれる―。

こうした便利さの裏には、ドライバーの行き過ぎた労働があります。

このままでは、宅配各社がドライバーを確保できず、現状のサービスを維持できなくなり、便利な暮らしが失われていきます。

つまり便利なサービスに対しては、それに見合った適正な料金を消費者は支払わなくてはならないのです。

 

今回のヤマト運輸のサービス縮小についても、「なくてもいい過剰なサービス」は廃止するべきで、それを消費者も許容しなくてはなりません。

このような料金適正化に向けた社会の正しい動きが広がれば、企業の収益が改善し、ドライバーの給料も上がり、消費が活性化し、デフレ脱却に結びつくのです。

【問】の答え

【答】デフレーション

宅配業界では、デフレが進んだ結果、低料金で便利なサービスを提供するようになりました。

例を挙げると、以前は200円だった配送サービスを、現在は100円で消費者が頼めるようになった、ということです。

つまり、貨幣価値が2倍に上がり、物価が半分になりました。

物価が下がることは一般の消費者にとって喜ばしいことのように思えます。

しかし、消費者の支出は、誰かの給料になります。

簡単に言えば、消費者の支出が減れば、それで稼いでいる人の給料も減るということです。

さらに、デフレ期には物価の下落よりも所得の下落の方が大きくなります。

 

物価が下がる→所得が下がる→消費が減る→モノが売れない→物価が下がる

 

デフレに対して社会が正しい動きをしなければ、このような悪循環に陥ります。

これを「デフレスパイラル」といいます。